しゃくりとは?

「しゃくり(=決り)」とは前回紹介した「フォール」のちょうど逆の表現で、こちらも2つの方法があります。

・少し低めの音を発音して滑らかに本来の音程に近づける方法
・本来の音程を発音し、音の最終部分で滑らかに音を上げる方法

後者は昔のアイドルが多用していた表現で、音のお尻をキュっと引き上げることで独特のかわいらしさ(ブリッコ感?)を表現していましたが、現在はあまり使われず、やや時代遅れな感があります。

そこで今回は、現在でも広く利用されている前者のしゃくりについて解説してみたいと思います!

*大辞林 第三版 で「しゃくり」を調べると「『 しゃっくり』に同じ」とありますが、ここで解説するしゃくりとは全く関係ありません^^;

口笛におけるしゃくり

まずは口笛でしゃくりを利用した例として、以下の動画『主人公』をご覧ください。主人公はさだまさしさんの数ある楽曲の中でも 常にファン投票1位を誇る不動の名曲で、私も大好きな楽曲の1つです♪

リードギターと口笛の独特なポルタメントがなんともいい感じですね~♪

・・・おっと、本題に戻りますが、しゃくり、分かりましたか?

出だしの「ときには」の「き」、そのすぐ後の「おもいでゆきの」の「お」など、曲中で何度も「しゃくって」いることがお分かりいただけたのではないかと思います。

今回はたまたま主人公を紹介しましたが、ポップス曲についてはかなり高い割合で少なからずしゃくりが利用されています。

しゃくりすぎに注意!

しゃくりは名詞なので、しゃくりを行うことを一般に「しゃくる」と言いますが、しゃくりすぎること、つまり頻繁すぎるしゃくりは曲の情感や品位を下げる要因になります。

これはカラオケが下手な人に典型的な歌い方なのですが(←失礼!)、歌い出しの度に洩れなくしゃくってしまうために、情感以前に音楽として破綻してしまい、ジャイアンリサイタルのようになってしまう場合がしばしばあります^^;

先ほど聴いていただいた主人公でも、しゃくるべきところではしゃくり、しゃくらないところでは全くしゃくらない表現になっています。
論理的にどういう音符の動きのときにしゃくるべきなのかといった解説は非常に難しく、また個人の感性によるところも大きいと思っていますのでここでは割愛しますが、とにかくしゃくり過ぎないほうがよいということだけは頭に入れておきましょう。

しゃくりの役割

しゃくりをどういった目的で使うかについては完全に個人の裁量ではありますが、大きく分けて2つあると思います。

・情感を与えるためのしゃくり(ソフト、しっとり、優しさ、愛情など)
・演奏を容易にするためのしゃくり

1つ目が本来ここで取り扱うべきしゃくりで、意図的に少し下からそっとピッチを上げることによるやさしい雰囲気、しっとりとした情感などを生み出す効果があります。

2つ目は演奏技術が未熟なために使ってしまうしゃくりで、先ほど書いたような「カラオケ音痴」(←度々、失礼!)にみられるしゃくりです。

2つは同じ「しゃくり」とはいっても、全く意味が異なっています。

口笛の場合特に、慣れないと音程のコントロールが難しいため、いきなり「ド」を出したいけど、一発で「ド」を狙い撃ちできないために、少し下の音を出して耳で確認しながらポルタメントで目的の位置にあわせるといった操作をしてしまう方が非常に多いのですが、これでは情感を生み出すことができないばかりか、場合によっては聴きづらい演奏になっている可能性が高いものと心得ておくべきでしょう。

「ごまかしテクニック」としては確かにそういった利用法もあるとは思いますが、この講座でレッスンを読み進めてくれている皆さんは、是非狙い通りの情感表現を目的とした「しゃくり」をマスターし、口笛演奏の幅を広げることに挑戦してみてください!

次のページへ≫