口笛音源審査:傾向と対策、攻略法

くちぶえに限ったことではありませんが、様々な大会やコンテスト、コンクール等の予備審査(予選、一次審査)において音源審査が採用されることが昨今、大変多くなっています。

例を挙げると、昨年行われた『第41回 国際口笛大会』、今年開催される『第7回 おおさか国際くちぶえ音楽コンクール』、『The Masters of Musical Whistling International Festival and Competition Concert』など、主要な大会においては国内外問わずほぼ全て一次審査には音源審査という形式が採用されています。

しかしながら口笛特有の問題として、音が他の楽器に比べ非常に小さく、息が音とともに前方へ吹きだす特性があることから、そのレコーディングは想像以上に難しく、プロのレコーディングエンジニアであっても満足のいく結果を得るためには試行錯誤を相当繰り返さなければならない場合が多いのが現状です。

このページでは口笛音源審査において高得点を獲得し、本選への切符を確実に得るためのノウハウを解説していきます。

ライブ審査と音源審査の違い

審査員の前で演奏を行うライブ審査と、音源審査とでは決定的に異なることがあります。それは自身の持つベストパフォーマンスで勝負が出来るか否かということです。

ライブ審査の場合は、決められた日時、不慣れな場所で、多くの聴衆の前で緊張の中演奏することが要求されます。当然このような状況において実力の100%を出し切ることはほぼ不可能で、潜在的実力(真の実力)の大小以上に、力の何%をその状況で発揮できるのかが勝負の鍵になります。

一方、音源審査においては、自分が好きな時間に、好きな機材を使って、最もリラックスした状況での演奏が評価対象となるため、ライブ審査とは異なり、潜在的実力の大小で勝負が決まることになります。

口笛音源審査

上記の図において、ライブでの演奏経験が豊富なAさんと、人前で演奏したことが一度も無いBさんを例にとると、ライブ審査においては真の実力では劣るAさんが勝者となる一方、音源審査ではBさんが勝者となる可能性が高いといえるでしょう。また、一概にどちらがうまいとは言えないものの、Aさんはアーティスト向き、Bさんはクリエイター向きの奏者といえます。

レコーディングの良し悪しも審査結果に影響

前の節では潜在的実力の大小が音源審査においては重要であることを書きましたが、もうひとつとても重要なことがあります。それはレコーディングの技術力(品質)です。

音源審査の場合、必ずしも口笛の実力だけが正確に順位に結びつくとは言い切れず、現実的にはレコーディングの良し悪しも同時に評価される可能性があることを十分に理解しておいてください。

つまり、口笛が世界一位クラスのレベルであったとしても、レコーディングの品質が悪く、音自体が聞き取りづらいような録音であった場合には、審査員へ十分に口笛の技量を伝えることが出来ず、結果、予選落ちしてしまう可能性が大いにありうる、ということなのです。

口笛レコーディング品質

すなわち、上図において、口笛の技量については申し分の無いCさんであってもそれを十分にカバー出来ない低品質なレコーディングでは結果的に、青矢印で示しただけの実力であると審査員に見なされ評価されることになるのです。一方で、レコーディングが得意なDさんは真の実力がCさんに劣るにもかかわらず、自身の潜在的実力をフルに発揮した録音により、Cさんよりも高い評価を受けることになります。

口笛のコンテストなのに録音の技術で予選落ちしてしまうというのは全くナンセンスな話です。そうならないためにも、『くちぶえ音楽院>口笛口座>録音方法』に基本的な録音上の注意点を記載していますので十分に理解され、実践されることを強くお勧めします。

特に、マイキングのテクニックは口笛のレコーディングにおいて最も重要なポイントのひとつです。マイクに対して息が直接当たってしまうような録音では肝心の音色が聞き取りづらく、前述のCさんのように実力が十分に審査員へ伝わらない可能性が高いと考えたほうがよいでしょう。

機材自体、特に高価なものを使う必要はありませんし、iPadやiPhoneだけで録音を完結させる簡易的な方法であっても、適切な方法で録音をして頂ければ審査音源として必要十分な品質に仕上げることは可能です(詳細は「こちら」)。

潜在的実力を最大限に引き出そう!

潜在的実力の最大値(=ベストパフォーマンス)が1回目の録音で発揮されるとは限らないものです。

是非、何度も録音を繰り返してみてください。

自分が安定的に発揮できる実力と、たまにしか発揮できない「瞬発力」のような実力があると思いますが、音源審査においては間違いなく後者で勝負をすべきです!

特にレコーディングが慣れていないうちはマイクを通してヘッドホンからフィードバックされる自分の口笛の音に一定の違和感を感じ、なかなか上手に演奏できないと思います。

それが5回、10回、20回と録音を重ねることで「慣れ」に変わり、結果としてより良い演奏の音源を生み出すことにつながります。

具体的なテイクの重ね方ですが、1回録音をしたら必ず聴き直し、改善点を見つけ、その結果を次のテイクに生かす、というサイクルを何度も繰り返すことが重要です。聴きなおした時に前よりも良いテイクであると感じたら保存し、悪いテイクであると感じたら迷わず破棄します。

最低でも5テイク、レコーディングに慣れていない方は最低でも10テイクはこのサイクルを回すようにしましょう。

審査員を意識した演奏(選曲)を!

全く別の観点から、審査員が誰なのかということも十分に意識するようにしましょう。

審査員が口笛の専門家なのか、音楽の専門家なのかによって評価される基準は当然ながら異なり、口笛を深いレベルで知っていなければ分からない高度な口笛技術は残念ながら音楽の専門家では評価しきれない可能性が高いと考えるのが自然でしょう。

逆に、口笛では比較的簡単なパッセージであっても音の遷移が早くフルートなど他の楽器で同様な表現を行う場合には非常に高度なテクニックを要するようなフレーズにおいては、音楽の専門家からは高い評価を得やすい傾向があるように思います。

最後の仕上げ:音楽的な完成度を高めよう!

審査という観点においては基本的に音楽的な完成度は考慮されないというのが本来の建前であるはずですが、実際に評価するのは人間ということもあり、やはりあまりにレベルの低い伴奏では口笛も美しく聞こえません。

一流料亭の料理であってもそれが紙皿に乗って出てきたとしたら果たして美味しそうに見えるでしょうか?同じことが口笛と伴奏についてもいえます。口笛用の伴奏を入手する方法は以下に記載していますので是非参考にして頂き、自身の演奏にあった良質な伴奏を利用するようにしましょう。

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いわゆるエコー等の空間系のミックス処理も同様で、これらは「場の演出」に役立ちます。小汚いお店で食べる料理なのか、高級レストランで食べる料理なのか・・・全く同じ料理であったとしても、実際に舌で感じられる味わいというのはずいぶんと異なるはずです。

実際のところ人間の五感というのは極めてあいまいなもので、同じことが口笛の演奏についても当てはまります。但し、強すぎるエフェクトは逆に品位を下げ、繊細なテクニックを聞き取りづらくしてしまう場合がありますので、音源審査用としては「やや控えめの味付け」となるよう調整すると良いでしょう。

ずいぶんと長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。是非、自身の実力を十分に出しきって、悔いの無い結果を残してください!

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