口笛の普及に必要なこと(コラム)

このページでは口笛をより広く普及させるために何が不足しているのかについて、個人的に考えていることを書き連ねてみたいと思います。

口笛は実はテレビCMやちょっとしたサウンドロゴなどにかなり広く使われているため誰もが無意識に日頃耳にしているものですが、率直にいって「音楽」としての位置づけはかなり微妙な存在であると認識されているように感じます。

日本人口が1億2000万人として、「口笛で音が出せる人」が仮に30%、「簡単な曲なら吹ける」という人がその三分の一程度と考えると、音楽として楽曲が吹ける人は少なく見積っても日本人だけで100万人近くはいるはずです。

そう考えると、現在のピアノ人口がおよそ200万人といわれていますので、それに匹敵するほどのメジャーカテゴリとしてのポテンシャルがあることは間違いないように思われますが、なぜ、「音楽」としての認知がこれほどまでに少ないのでしょうか?

いくつかの要因が思い当たりますが、今日は商業性と、演奏会の体制について触れてみたいと思います。

商業性の問題

ウクレレやギター、オカリナなど、モノとして売れる楽器であれば、楽器販売店やメーカーを中心に様々なイベントが企画され販促に利用されたり、アーティストシグナチャーモデルが販売されるなどして楽器としての人気=経済規模を押し上げることが出来ます。売れる=広告が可能ということなので、雑誌などの媒体も増え、雑誌が売れる=人気が出る=楽器が売れる=イベントが盛況=雑誌が売れるというように正の連鎖も期待できます。

ところが口笛の最大の魅力である手軽さ、すなわち、道具を必要とせず人間が元来持っている唇だけで音を発生させることが出来る特性が、逆にこの手のスポンサーを得ることが出来ない根本要因になってしまっています。

実際のところ、口笛を支援する営利スポンサー(メーカー、販売店)は現在のところほぼ皆無で、口笛関連団体や奏者自らが積極的に企画、活動しなければならず、そのための原資確保も困難な状況です。

一層の口笛普及のためには、単に身近、気軽という魅力だけでなく、業者を巻き込んだイベントの開催、口笛関連グッズ、アイテムの企画、CD販売など、『商業性の確立』をより強く意識する必要があるように思います。

演奏会の体制

必ずしも口笛だけに限った話ではないのですが、著作権と演奏会の体制にも一因があるのかもしれません。

ピアノはピアノだけで音楽としての演奏が完全に成立し、ホールには必ず備え付けのピアノが設置されていることもあって、全国各地で頻繁にコンサートが開催されていますが、口笛は口笛だけでは音楽として楽しみづらい側面があります。

演奏会に出演するためには通常、口笛に付随する伴奏を自分で用意しなければならないのですが、当然、著作権の関係で市販のシングルCDなどに収録されているインストをそのまま利用することは出来ません。

そうすると必然的に、口笛を披露するためには口笛演奏技術に加え、少なくとも以下の条件のいずれか1つが必須になります。
・ 楽器生伴奏が出来る人とユニットを組めるほどの音楽的人脈
・ 自分で楽器を演奏する技術
・ コンピュータで伴奏を制作する技術

口笛人口が100万人以上ということは先に書きましたが、口笛が吹けて、さらに上記の条件に当てはまる人となると、日本全国探してもそれほど多くないのは明らかです。

口笛の世界には残念ながら『喉自慢』のような、伴奏を主催者側が提供するイベントはほとんど存在しません。『純粋に口笛だけが得意な人』も活躍できる場、すなわちコミュニティとしての入り口の敷居を下げること、これが口笛文化振興に重要であるように個人的には感じています。