レコーディング用ヘッドホンの選び方

口笛レコーディング用ヘッドホンの選び方

口笛のレコーディングを行うにあたって、マイクと並んで必ず必要になるのがヘッドホンです。

このページでは、口笛のレコーディングに最適なヘッドホンについて解説します。

マイクもヘッドホンも要らないiPadを用いた口笛録音方法については、以下で詳しく解説しています。

ヘッドホンの種類

ヘッドホンには大別して2つの種類があります。

一般にお店で売られているヘッドホンは「リスニング用ヘッドホン」で、音楽を聴いたときに聴感上、最も気持ちよく聞こえるような設計がなされています。

一方、今回ご紹介するのは「モニターヘッドホン」と呼ばれるもので、原音に忠実かつ極めて高い解像度で音で返しますが、リスニングには適さないタイプのヘッドホンになります。

ヘッドホンには2種類ある
  • リスニング用ヘッドホン
    音楽を楽しむためのヘッドホンで、聴感上、気持ちよく聞こえるような味付けがなされている。
  • モニターヘッドホン
    原音に忠実な音を高い解像度で出力するよう設計されており、一切の味付けがなされていない。

最近では音楽のレコーディングコストが非常に低くなり、一般化しつつあるため、リスニング用ヘッドホンを使ってレコーディングする方も増えていますが、本来の音ではなくヘッドホンによって脚色された「聞こえの良い音」が返ってきてしまうため、意図した音を制作することは困難です。

自宅でレコーディングをする際には、必ずモニターヘッドホンを用意して使用するようにしましょう。

SONY MDR-CD900STがおすすめ!

モニターヘッドホンといっても幅広く、各社からそれぞれ違った特性を持った製品が発売されています。

その中でも、業界標準として日本のどのレコーディングスタジオにも常備され、スタンダード&リファレンスヘッドホンとなっているのがSONY MDR-CD900STです。

外見的には左右の赤い帯が特徴で、テレビの歌番組等で審査員がつけているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか?

SONY MDR-CD900ST

使用するモニターヘッドホンによって当然、音の聞こえ方は若干異なりますが、MDR-CD900STで聴いたときの印象が良ければ、まず問題がないと言い切って良いと思います。

私も口笛のレコーディングではこのヘッドホンを愛用していますが、特に口笛のような高周波数帯域においても、完全にフラットな音を返してくれるため音程がとりやすく、現在欠かせないものになっています。

良く頂く質問で「ライブで口笛をうまく吹くことが出来るのに、録音になるとピッチが取れない」という方がいますが、その原因のひとつがヘッドホンの性能にあります

すなわち、口笛を吹くのと同時にフラットな音が瞬時に耳に返らず、リアルタイムでのピッチコントロールが困難となることで、思うような演奏がレコーディング時に出来なくなったと考えられます。

実際には、他にも様々な要因がありますが、心当たりのある方は、まずMDR-CD900STを試してみると良いでしょう。

尚、この製品は一般向けではなく、業務用のため、簡易包装で出荷され、初期不良以外のメーカーサポートや保障も基本的に無いことに留意してください。

また、レコーディングスタジオでミキサーに挿しっぱなしにすることを前提としているため、一般向けによく用いられているミニプラグではなく、サイズの大きな標準プラグ(以下の写真)が採用されています。

ニッケルメッキプラグ

つまり、このヘッドホンを直接スマホやタブレットに繋ぐことは不可能で、繋ぐためには標準プラグ→ミニプラグ変換アダプターが必要となります。

また、プラグにはニッケルメッキが採用されているため、湿度管理されたスタジオであれば全く問題ありませんが、家庭での利用においては経年劣化が起こりやすく、接点が不安定になることがあるため、心配な方は別途、プラグを交換しておくと良いでしょう(自分で出来ない方は「MDR-CD900ST カスタマイズ 料金」などでGoogle検索すれば業者がすぐに見つかると思います)。

私はノイトリック製の金メッキプラグにカスタマイズしたものを使用しています。

ノイトリック製金メッキプラグカスタマイズ

プロ向けであることによる、諸々の敷居の高さがあることは否めませんが、口笛に限らず、自宅でレコーディングやDTMをするのであれば、基準として必ず持っておいたほうが良いヘッドホンであると思います。

SONY MDR-7506という選択も

先に紹介したMDR-CD900STですが、実はプラグ形状、メッキのほかにもちょっとした問題があります。

長い時間をかけ、練りに練って録音するような場合、何度もニュアンスを変えて録り直しを行うため、何時間もヘッドホンをしたまま作業を行うことになりますが、MDR-CD900STはヘッドホンのパッドを耳に左右から押しあてる構造のため、丸一日レコーディングするような場合、物理的に耳が痛く感じられることがあります。

MDR-7506はパッドの内側の空洞が大きく設計されているため、耳全体がパッドの内側に入り込むような形状をしています。そのため耳が(物理的に)痛くならず、丸一日つけっぱなしでも音楽に集中し続けることが出来ます。

また、MDR-7506はMDR-CD900STの姉妹品のような位置付けで、赤ラベルが青ラベルになっただけのような外見的類似性がありますが、こちらはプロ向けではなく、一般向けを意識した製品のため、当然メッキは金メッキで、プラグは標準プラグが採用されているものの、ミニプラグへの変換アダプタが製品に標準付属するため、タブレットなどにもそのまま挿すことができるようになっています。

SONY MDR-7506

さらに、このように小さく折りたたむことも可能で、バッグに入れて外へ持ち運ぶのも容易です。

SONY MDR-7506折り畳み状態

音の解像度や、分離能に関してはMDR-CD900STには及びませんが、導入にあたっての敷居が低く、一般的なリスニング用ヘッドホンよりは遥かに高いモニター性能を有するため、MDR-CD900STのハードルが高いと感じられる方は、まずこちらの製品を試してみるのも良いでしょう。

MDR-CD900STとMDR-7506の違い(比較表)

よく似ている2つの製品ですが、その違いを以下にまとめました。ヘッドホン選びの参考にしてみてください。

  MDR-CD900ST MDR-7506
音の解像度 ★★★ ★★
価格 ★★ ★★★
携帯性 ★★
プラグ 標準 ミニ+標準
メッキ ニッケル
リスニング性能 ★★
モニタリング性能 ★★★ ★★

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントは承認制です。管理者による確認後、コメント欄に反映されます。