非常に良く頂く質問に「口笛が上手に吹けるようになるためにはどうしたら良いですか?」というものがあります。
当然ながら、口笛の上達には時間が掛かり、すぐに上達して明日からプロの口笛奏者並みに吹けるようになる方法は無いのですが、一流の奏者を目指す上で、一般論として知っておくべき事項を以下にまとめました。
1.目的意識を持つこと!
口笛に限ったことではありませんが、強い意志があるのと無いのとでは、上達のスピードが全く違います。
分かりやすい例を挙げると、なんとなく趣味で英会話を始めた人と、業務上緊急に英会話力の向上が必須となって英会話スクールに通い始めた人とでは、同じ先生の英会話レッスンを受けたとしても、後者のほうが圧倒的に上達ペースが速いことは誰でも容易に想像出来るはずです。
口笛も同じで、「コンテストで好成績を残したい」「来月のコンサートに向け技術を磨きたい」「口笛の魅力を広く一般に伝えたい」といった明確な目的意識が、その後の上達ペースを決定付ける主な要因となります。
最初のうちは目的がどんなに小さなものであっても構いません。
家族がいるなら「来月の誕生日パーティで親に口笛の生演奏をプレゼントしてあげたい」といった目的は十分に素敵ですし、路上ライブ、YouTube投稿、または単に「口笛であの子の気が惹きたい」ということが動機であっても良いでしょう。
ただ、全く目的無しに「なんとなくうまくなったらいいな」では上達ペースが非常にゆるやかになりますので、口笛の練習に先立って、まずは小さな目的、目標を作ることから始めてみましょう。
スタート前の準備で、その後の上達スピードに大きな差が生まれます。
2.くちぶえ音楽院を隅々までチェック!
手前味噌で恐縮ですが、くちぶえ音楽院は口笛の吹き方から高度な奏法解説、音楽的情感の付け方まで、体系的に幅広くカバーしています。
通常であれば公表しないような特殊な口笛のテクニックについても一切包み隠さず解説していますので、基本的にはくちぶえ音楽院のコンテンツを隅々までチェックして頂ければお金をかけずに一通りの技術、ノウハウを習得することが可能です。
また、分かりづらい点があれば、その旨をコメント欄に記載頂ければ、個別に回答させて頂いています。
また、お問い合わせやニーズの多い事項については順次、コンテンツとして掲載しますので、定期的にチェックしておくと良いでしょう。
3.好きな口笛奏者の演奏を分析してマネる!
口笛に限った話ではありませんが、上達したいのであれば自分が本当に好きな奏者の「モノマネ」からはじめるのが上達の近道です。
いきなり自分で「ある楽曲」のニュアンスを工夫して、オリジナリティある演奏をするのは初心者には極めて難しく、実質的にはほぼ不可能と言っても過言ではありません。
YouTubeで好きな奏者が吹いていたアドリブフレーズを(本来、アドリブは演奏のたびに変化するのですが)全く同じようにまねてみたり、イントネーション、奏法、ポルタメントなども意識して真似て口笛を吹くことで、徐々にそれが自分のものとなり、別の楽曲においても自分なりの応用が出来るようになります。
上手く真似るためには、どこをどう吹いているのかを詳しく分析することも大切なプロセスですが、その分析プロセスは「どうしてその奏者の演奏が自分にとって心地良く聞こえるのか」を体系的かつ客観的に理解する手助けにもなります。
芸術の分野では「〇〇(人名)の影響を強く受けている」といった表現がよく為されますが、それは〇〇(人名)のマネをすることによって技術を身に付け、それを自分なりに発展させて開花させたことに他なりません。
人のマネをすることに抵抗がある方は少なくないかもしれませんが、将来的にその技術を自分流にアレンジさせるところまでを見据え、まずはマネに徹してみてください。
4.自分の演奏を録音して聴く!
実は、口笛というのは、自分が聞こえているほど、他人には良く聞こえていないものです。
それを客観的に知る方法が録音です。
このことは感覚的なものに加え、空気を通して耳に伝わる音と、骨を通して伝わる音の質的違いも関係しますが、詳細についてはここでは割愛します。
とにかく「自分が聞こえている音」と「人に届いている音」が違うという結論をまずは意識しておいてください。
さて、本題ですが「自分が一番口笛が上手い」と思っている人は多いのではないでしょうか?
人の演奏を聴くと、微妙なピッチのズレが気になったり、タイミングの悪さ、ニュアンスの付け方なども気になる場合が多いと思います。
一方で、自分の演奏は完璧であると自負する方は世の中に多くいますが、そんなあなたには、是非自分の口笛の演奏を録音して、聴いてみることをお勧めします。
録音はスマホでも、MP3レコーダーでも、ビデオカメラでも、DAWでも、音が録音できれば何でも構いません。
音を録音して聞くことで、自分の演奏技術を客観的に評価することが出来ます。
「思っていたより駄目だった・・・」
「ピッチも甘い・・・」
「自分では魅力的なニュアンスだったつもりが、単に自分の演奏に酔っているだけのように聞こえる・・・」
録音して聴くことで必ず多くの発見が生まれます。
改善点が明確になったら、今度はそれを踏まえ、もう一度録音してみましょう。
すると今度は、また別の問題が浮き彫りになるはずです。
こうしたサイクルを繰り返すことで、口笛は飛躍的に上達します。
5.口笛奏者へ弟子入り!
好きな奏者の演奏を分析したり、真似をしたりすることを先にお勧めしましたが、もっと手っ取り早く、正確に技術を習得したいのであれば、本人から習う以上に良い方法はありません。
口笛奏者を名乗る方は多数いますが、「自称口笛奏者」なだけで、技術も実績も伴わない方は少なくありません。
また、自身の技術が高いことと、教える能力が高いことは必ずしも一致しない難しさがあります。
弟子入りするにあたり、先生の候補となる口笛奏者の過去の口笛コンテストでの成績や、講師としての経験、また、ブログやSNSなどでどんな方なのかを予め調べた上で、各奏者の公式HPなどから口笛レッスンを打診してみると良いでしょう。
くちぶえ特有の微妙なニュアンスを習得するためにも、可能であれば直接会って教えてもらったほうが効率が良いですが、地理的にどうしても難しい場合や、安全上の懸念がある方は、インターネット(Skypeなど)を利用したオンラインレッスンも選択肢になります。
6.口笛サークルに加入!
サークルを仲間と結成したり、既存の口笛サークルに加入して口笛仲間を増やすことはモチベーションを維持する上でとても有用な方法といえます。
特に、定期的に演奏会を開催しているサークルでは目的意識もはっきりしているため、技術向上に役立つ場合が多いと思います。
口笛サークルの数はそれほど多く無いのが難点ですが、地区センターなどの公共施設に団体登録して活動しているケースが大半のため、機会があれば一度HP等で調べてみると良いでしょう。
7.歌を練習する!
歌が音痴(オンチ) な人は大抵、口笛でも正確な音程を取ることが出来ません。
逆に、口笛がうまい人は、歌もうまい場合がほとんどです。
もちろん、声の勢いや質的な特性も含め、プロ並みに歌がうまい口笛奏者となればごくわずかですが、少なくとも、正確に音程をとったり、質の良いニュアンス、情感をつけることに関しては一般以上のレベルで歌える口笛奏者がほとんどです。
実際、口笛演奏会に行くと、アンコールは歌であったり、数曲は歌を挟むケースが多いことに最初は驚かれると思います。
もちろん「歌がうまいからといって、口笛が上手い」ということにはならないのですが、「口笛が上手ければ歌がうまい」とは言えます。
つまり「歌が下手で、口笛が上手い」ということはほとんどありません。
耳でしっかりピッチを聞き分ける能力と、リアルタイムに音をコントロールする能力が、口笛も歌も共通して必要とされるため、歌の練習をすることは口笛の技術向上に直接役立ちます。
また、歌は口笛よりも上達のメソッドが確立されているため、正しい音程で歌を歌えない方は、まず歌が上手に歌えるようになる練習をすると、口笛の上達を早めることが出来ます。
8.継続する!
長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。これだけの記事を読み進めることが出来たあなたは、それだけ口笛に対する強い気持ちがある証拠です。
今の気持ちを忘れずに練習を継続してください。
最後に1つだけ付け加えるとするならば「継続は力なり!」です。
くちぶえに限らず「楽してプロ並みの技術が身につく」などという都合の良い方法は決してありません。
上達のためのメソッドを知ることで、上達のペースを早めることは出来ますが、あるところで一度は頭打ちとなり、それがなかなか打ち破れず、スランプに陥って苦労や苦悩を経験することもあるでしょう。
それでもとにかく、あきらめず、続けることが大切です。そうすれば必ずいつか突破口が見えてくるものです!