ノンアタック奏法

口笛奏法解説:ノンアタック奏法

ノンアタック奏法は、アタック奏法とは逆に、アタック音を全く含まない音を出すための口笛の特殊奏法です。

口笛奏法解説:アタック奏法 アタック奏法

口笛の場合、基本的にブレスコントロールによってタンギングに似た効果を生み出し、音の出だしや区切れを明瞭に表現しますが、曲によってはオーケストラのストリングスのようにアタックを完全に無くし、ふわっとした質感を要所に加えることで、深みのある表現となることがあります。

MEMO
方法は全く異なりますが、管楽器で「ノンアタック」又は「ノーアタック」と呼ばれる奏法と、同様な効果を口笛で得ることが出来ます。

ノンアタック奏法を聴いてみよう

ノンアタック奏法特有の効果を音楽的にどう使えばよいのかを理解するために、まずは以下の動画をご覧ください。

3分4秒あたりでノンアタック奏法による独特なニュアンスが感じられると思います。

もし良く分からないという方は、ヘッドホンやイヤホンを使用してもう一度聴いてみてください。

ノンアタック奏法によって楽曲に独特なニュアンスを加えることが出来るため、この動画に限らず、私は様々な楽曲でこの奏法を利用しています。

波形で見るノンアタック奏法

ノンアタック奏法を視覚的に理解するために、ノーマル奏法、アタック奏法、ノンアタック奏法を波形で比較してみたいと思います。

下の図はノーマル奏法(パッカー奏法)で吹いたときの波形です。横軸が時間、縦軸がボリューム(音量)を表しますが、音の出だしから最後まで一貫したなめらかな曲線となっていることが分かります。

ノーマル奏法の波形

次に、アタック奏法の波形を見てみましょう。出だしに大きな「コブ」がありますが、これがアタック音の正体で、その後、一次減衰(ディケイ, Decay)を経て、持続音(サスティーン, Sustain)へと変化する一連の過程を経ていることが分かります。

アタック奏法の波形

次に、今回の本題、ノンアタック奏法です。以下の波形図ではじめに「にょろにょろ」とした小さな信号が見えますが、これが音の出だしに相当し、それがシームレスに徐々に大きくなって通常の音量に至るのが特徴です。

ノンアタック奏法の波形

すなわち、波形的にはちょうどノーマル奏法を左右反転したような形がノンアタック奏法となります。

ノンアタック奏法の吹き方

このレッスンの冒頭で紹介した動画ですが、注意深くボリュームを上げて聴くと、先に息の音だけが聞こえて、徐々に息の音が減り、口笛の音が出てきていることに気がつくと思います。

まさにそれがノンアタック奏法の原理となります。

具体的には、ノーマル奏法のときのように、普通に口笛を吹く口の形を維持しながら、先に口笛の音を出さないように注意しながら息だけを吐き出し、息を吐き出すスピードを一定に保ったまま音の成分を徐々に増やして、最終的にクリアな音へと変化させます

口笛初心者の音を聞くと、多くの場合音がかすれており、音の中の息っぽさを強く感じることがありますが、これを意図的に制御し、息だけの状態→かすれた息っぽい音→クリアな音へとシームレスに変化させることで、ノンアタック奏法が実現できます。

もちろん、かすれた音を出さずにクリアな音だけを利用して、息のスピードを徐々に増やすことで音量をシームレスに上げる方法でも似たような表現となりますが、それでは出せない独特なニュアンスがノンアタック奏法にはある点に留意してください。

シームレスなアタック調整

アタックの強さが強い順に奏法を並べると以下の通りとなります。

  1. アタック奏法
  2. ノーマル奏法
  3. ノンアタック奏法

但し、ここまでが「アタック奏法」で、ここからが「ノーマル奏法」、「ノンアタック奏法」というように厳密な切れ目があるわけではなく、無段階にその程度を調整し、その音符に適した音楽表現を行うことが大切です。

アタック感のコントロールは感覚的なものではありますが、逆に、それだけ奥が深く、音楽表現において重要な技術といえます。

口笛中級者まではどの音も一定のアタック感となり、曲を吹いても単調さが感じられる演奏になりがちですが、ノンアタック→アタックまでをシームレスに繋ぎ、使いこなせるようになれば、幅広い情感、すなわち、優しさ、怒り、苦しみ、喜びなどを口笛で音楽的に表現することが可能となり、音楽性を高める上で非常に役立ちます。

上級者へのステップアップのためのテクニックとして、習得しておくことをお勧めします。

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