口笛の吹き方

口笛の吹き方

このページでは、口笛の世界に足を踏み入れるための第一歩である、口笛の音の出し方について詳しく解説したいと思います。

くちぶえは口の中の微妙な容積、形状の変化によって直感的に音程や音質をコントロールする楽器であり、口内の環境にも大きな個人差があります。そのため、理論的な解説は難しく、実際には何より「慣れ」が重要となりますが、上達の妨げとなる悪い癖がついてしまわないよう、まずは音を出すための「コツ」や「基礎」を正しく理解し、練習することが大切です。

正しい姿勢と腹式呼吸を身につけよう

どんな楽器にも演奏するための「正しい姿勢」というものがあり、「正しい呼吸法」と併せて理解することで、その後の上達を飛躍的に早めることが出来ます。

口笛の場合、起立して、足を肩幅に開き、重心をやや足の先に乗せ、上半身を脱力するのが最も響きやすい姿勢といえます。

合唱をされた経験がある方はそれと全く同様と考えれば分かりやすいと思います。

口笛を吹くための正しい姿勢
  • 起立して足を肩幅に開く
  • 重心をわずかに前方に傾け、足の先に体重を乗せる
  • 上半身は力を抜き、脱力する

口笛を吹くための正しい姿勢が整ったら、今度は両手をお腹に当てて、お腹が空気で膨らむのを感じながら鼻からゆっくりと息を吸い込み、またゆっくりと鼻から息を吐き出します。

この時、肩が上下しているようであれば、正しい腹式呼吸が出来ていません。肩の力を抜き、お腹の底に空気を入れるイメージで、さらに深い呼吸を意識し腹式呼吸の練習をしましょう。

慣れてくると口から息を吸い、吐き出しても同様な深い複式呼吸が出来るようになります。

腹式呼吸をマスターしよう!
  • 両手をお腹に当てる
  • 鼻からゆっくりと息を吸い込む
    → この時、お腹が空気で膨らむ
  • 十分に息を吸い込んだら、今度はゆっくりと鼻から息を吐き出す
    → この時、お腹がへこむ
  • 慣れてきたら、口から息を吸って、口から吐いてみる
    → 吸った時にお腹が膨らみ、吐いたときにお腹がへこむ。肩も上下していなければ合格
注意

初心者の多くは、お腹の筋肉を使って意識的にお腹を膨らませたり、へこませたりしがちですが、上半身(特に、肩や、お腹)は完全に脱力することが大切です。お腹に意識しなくても吸った空気によって自然にお腹が膨らむようになるまで練習しましょう。

口笛の音を出すコツ

自然に腹式呼吸が出来るようになったら、いよいよ音を出す練習に入ります。

まず、舌を下の前歯の裏側に軽く付けます。その厳密な位置ですが、下前歯のちょうど中央部分、歯茎と歯の境目ではなく、歯の先端でもなく、歯のちょうど中央の高さ、2本の下前歯の隙間(中央)を意識して舌の先端を軽く押し当てます。

さらに、唇を少しすぼめて空気の通る穴(アパチュアといいます)を作ります。

漫画などでは、ものすごく唇を突き出すような絵で口笛を吹くシーンが表現されますが、実際にはほとんど前に突き出す必要はなく「そっとローソクを吹き消すような口の形」が口笛に最も適しているといえます。

さらにそのまま上の前歯と下の前歯の先端の隙間を1センチ程度開き、口内の空間を確保します。原理的にはここで小さな空気の乱れが増幅され、耳で聞き取れる可聴音が形成されることになります。

通常、特に意識しなくても、唇をすぼめてそっとローソクを吹き消そうとした段階で、自然に上下前歯は理想的な間隔となり、口内容積も適切に確保されるので、あまり厳密に考える必要はありません。

さて、ここまで準備ができたら、その状態のままで「ひゅーひゅーひゅー」と、声に出して発音してみてください。

正しい位置に舌を固定し、唇を少しすぼめて「ひゅ~」と発音することで、声と同時に口笛の音に似た風切音のような音が聞こえれば大成功です!

すぐ下の三角マークをクリックして模範例を聴いてみてください。


すぐには音が出ないかもしれませんが、舌の先端の位置や、口の開き方、唇のすぼめ方などをごくわずかに変化させながら、音の出るポイントを見つけ出してください。

ここまで出来ればあとはひたすら「慣れ」あるのみです!

しばらく繰り返して感覚がつかめてきたら、今度は実際に声には出さずに、同じ要領で息だけを出してみましょう。

ちょうど、こそこそ話(ひそひそ話)をするイメージで「ひゅ~」とささやいてみてください。そうすると先ほどの風切音だけが聞こえるはずです。

言葉だけでは分かりづらいと思いますので、その音を実際に聴いてみましょう。

コソコソ話のように、声帯を使わずに「ひゅ~、ひゅ~、ひゅ~」とささやくように繰り返してみてください。

なかなかすぐにというわけにはいかないかもしれませんが、根気良く続ければこの方法で必ず誰でも口笛の音が出せるようになります。

ここまでの練習であなたも「口笛の音の元」が出せるようになりました!

「口笛の音の元」のことを専門的にはイニシャルノイズと呼びます

このイニシャルノイズを口内で反響・増幅させることで、口笛の美しい音色は生み出されるため、イニシャルノイズが出せるようになった後は、少しずつ息っぽさを無くし、音の成分の比率を高める練習を行うことで、明瞭な口笛の音が出せるようになります。

この時、注意すべきポイントは以下の通りです。

  • 舌を下の前歯の裏に軽く当て、空気を舌の裏側に漏らさないようにすること
  • 歯の外側(頬の内側)に息を漏らさないこと(頬が膨らまないように注意)

これさえ守れば1週間ほどで、かなりはっきりした口笛の音が出せるようになります。慣れてしまえば姿勢や呼吸、口の形などをいちいち意識しなくても、無意識に「ピュ~ピュ~」自由に音が出せるようになります。

上手く音が出ない場合はここをチェック!

説明どおりに数日練習しても全く音が出ないという方は以下のポイントをもう一度チェックしてみてください。

舌の位置と口の形

口笛の音が出ない場合は、舌の先端の位置を少しだけ上下させてみてください。舌を下前歯と歯茎の境目に当てたほうが音が出やすい場合もあります。

それでも音が鳴らないようであれば、口を少し開きすぎていることが原因の可能性があります。上下の歯が触れない程度に少し閉じ気味で再度練習してみてください。

呼吸法(腹式呼吸)

腹式呼吸が正しく出来ていないと明瞭な口笛の音を鳴らすことは出来ません。すなわち、胸式呼吸では音の形成に必要な空気の乱れを十分に発生させることが出来ないため、結果として輪郭のはっきりした音が鳴りません。

前述したイニシャルノイズをしっかりと発生させるためにも、まずは腹式呼吸をしっかりと身に付けましょう。

唇の状態

体質や風邪などで唇が荒れていてもイニシャルノイズ自体を発生させることは出来ますが、粘膜表面の乱れによって口内の反響が十分に得られず、音がややかすれたような感じになることがあります。

口笛音楽としての繊細なニュアンスが表現しづらくなる場合があるため口笛奏者の間でもリップクリーム使用の好みは分かれますが、特にまだ音が十分に出せない初心者の方はリップクリームを薄く塗って練習すると、より早く音を出すコツを掴むことが出来るケースが多いので、是非試してみてください。

42 COMMENTS

りゅうき

ふゅーとは鳴らせるようになったのですがわたしが憧れていた歌を歌ったりができませんどうすればいいですか

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鳥鳴 響

りゅうきさんへ

ご訪問・コメントありがとうございます。
このページでは、口笛の「音の出し方」にフォーカスして解説していますので、口笛の「音程の取り方」については、以下のページをご覧ください。
https://torinaki.com/changing-tone/

自由に楽曲を吹きこなすためには、音程以外にも様々な技術が必要となりますが、以下の口笛口座をすべて読破頂くと、一通りマスターできるかと思います。
https://torinaki.com/category/lesson/

練習頑張ってください!

鳥鳴響

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