吸気奏法

口笛奏法解説:吸気奏法

吸気奏法とは息を吸いながら音を出す口笛の奏法です。

他の奏法と組み合わせて利用されるため吸気奏法だけが単独で使われることは通常ありませんが、長いパッセージの楽曲を吹く際、ノーマル奏法を基本として、所々、吸気奏法を挟むことで息継ぎの切れ目無しに延々と音を出し続けることが可能となります。

また、息を吐きながら口笛を吹く「ノーマル奏法」と比較し、吸気奏法では音楽的に微妙なニュアンスの表現が難しく、音量や音の安定性において不利な側面がありますが、訓練によってノーマル奏法に近い音のコントロールが出来るようになります。

吸気奏法のメリット・デメリット

吸気奏法を使わずに口笛の演奏を行う場合、パッセージの長さに限界が生じ、本来ブレスを入れるべきで無いタイミングでの息継ぎなどの音楽的制約が生じます。

実際、私も、長いパッセージを1つの大きな流れとして音楽的に表現したい場合に吸気奏法を利用しています(口笛動画で極端に長いパッセージでも息継ぎ無しで演奏出来ているのは吸気奏法を組み合わせているためです)。

吸気奏法には以下のメリットとデメリットがあります。

吸気奏法のメリット・デメリット
  • メリット
    ブレスを行うことなく非常に長いパッセージを切れ目なく演奏することが可能。
    ブレスノイズの発生回避が可能。
  • デメリット
    吸気奏法単独ではノーマル奏法よりも短いパッセージしか吹くことが出来ないため、他の奏法と組み合わせることが必須。
    他の奏法と音色や音量の違いが生じやすく、音楽的違和感を与える場合がある。
    ビブラートなどの音楽的表現がノーマル奏法に比べ技術的に難しい。

デメリットは訓練である程度改善することが可能ですが、どれだけ練習しても奏法の違いによる微妙な音色の違いの発生は避けられません。

そのため、基本的にはノーマル奏法を主体とし、肺活量に無理がある場合、または、微妙な音色の変化をアクセントとして音楽表現の一部にしたい場合などに、吸気奏法を用いるのがお勧めです。

また、ライブなどでブレスコントロールを間違えて息が途中で足りなくなってしまっても、吸気奏法が出来れば演奏の継続が可能となります。リスク回避という意味でも練習しておくといざという時に非常に役立ちます。

吸気奏法による音の出し方

読んで字のごとく、息を吸いながら口笛の音を出します。

口の中の状態はノーマル奏法と全く同じ形にして、通常は吐き出す息を、逆に吸い込んで音を作り出します

最初はなかなか音が出ないかもしれませんが、ノーマル奏法が出来ていれば(口の中の状態は全く同じなので)比較的短期間で習得できると思います。

口の中の状態を固定して、息を吸ったり、吐いたりしながら音を連続して出し「吐くときの音(ノーマル奏法)」と「吸うときの音(吸気奏法)」が同じ音色になるように意識しながら練習すると良いでしょう。

吸気奏法の使い方のコツ

口笛音楽演奏での吸気奏法の使い方のポイントは「息が苦しくなったら弱拍で吸気奏法を使」ことです。

音の出だしや、音楽的に重要な音符はノーマル奏法で演奏し、弱拍などのあまり目立たない部分で吸気奏法を挟むと仮に多少の音色の違いが生じても、音楽的な違和感を与えることなく自然な印象になります。

口笛には多くの奏法がありますが、音楽的な表現を行う上で、ノーマル奏法と、吸気奏法の2つは特に重要なため、しっかりマスターしておきましょう。

ブレスフリー奏法

2015年に米国で開催されたMasters of Musical Whistling 2015で優勝した口笛奏者 奥野靖典さんは、吸気奏法を音楽的に使いこなすことで、演奏中一度も息継ぎ(ブレス)をしない独自の演奏スタイルを確立しています。

口笛のライブではマイクの使い方を工夫して息継ぎの音が入らないようにする奏者が多いですが、奥野さんは息を吐いたり吸ったりしながら口笛演奏を行うことで、ブレスノイズが最初から発生しない演奏手法を採用しており、この奏法を自ら「ブレスフリー奏法」と名付けています。

詳細については以下の記事をご覧ください。

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