マイキングテクニック

口笛マイキングテクニック

このレッスンでは、口笛の高音質レコーディングを行うために重要となるマイキングについて解説したいと思います。

マイキングとはマイクの取り扱いに関わる技術全般を指しますが、息とともに音が出る口笛の場合は、少し特殊なマイキングテクニックが必要となります。

外付けマイクを使用して口笛を録音したい方だけでなく、ライブやコンテストなどでマイクを使用して口笛を吹く機会がある方は、是非参考にしてみてください。

マイクを使用して口笛を吹くにはコツが必要

一般的な楽器は「音が出る場所からは純粋に音だけが出る」ように設計されています。

レコーディングエンジニアは楽器ごとに確立されているレコーディングノウハウに基づき、適切な位置(角度、距離)に最適なマイクをセットアップすれば、簡単にその楽器の魅力を最大限引き出すことが出来ます。

一方、口笛の場合は口から音と同時に息も出てしまいます。そのため、口の正面にマイクをセットして普通に録音すると、以下のようになってしまいます。


 

息がマイクにあたることによって生じる「ブローノイズ」が口笛に混入していることが分かると思います。

このようなマイキングでは、いくら上手に演奏したとしても「音楽」には程遠いといわざるをえません。

ブローノイズや破裂音を低減するためのアイテムとして、ポップガード(ポップスクリーン)というものがレコーディングにおいて良く使われますが、そのポップガードを使って録音したのが次のサンプルです。

 

かなり良くなっていますが、ポップガードを使用しても結局多くのノイズが混入し、口笛のクリアーな音は録音できていないことが分かると思います。

また、ブローノイズの抜本的な対策として、空気を吸って音を出す「吸気奏法」を使う方法もありますが、実際上、吸気奏法で100%の実力を発揮できる奏者は皆無で、音楽的な表現の幅などを考えると、これも現実的とは言えないように思います。

口笛奏法解説:吸気奏法 吸気奏法

では、どうすれば良いのかを、次のセクションで解説したいと思います。

口笛に最適なマイキング方法

口笛の場合、個々の吹き方のクセや、技量によって多少の調整が必要となりますが、口笛に最適なマイキングは概ね、以下のとおりです。

口笛に最適なマイク設置法
  • 角度:口元に対して45°
  • 距離:口元から15 cm ~ 50 cm(マイクの感度、口笛の音量、環境により異なる)

前で説明したとおり、口笛の場合、音とともに息が前に出るため、マイクで音を正面から拾うと、たとえポップガードを使用しても風切音(息がポップガードに当たる音)が入ってしまいます。

そのため、マイクは斜め前方から、口元から離して設置するようにしましょう(下図は、天井から見下ろした時のマイクと奏者の位置関係)。

マイキング方法

ライブなどでハンドマイクを手持ちで演奏する場合は、45度程度の角度で、10センチ~20センチ程度の距離でマイクを持ち、息を吸う際は必ず口元から一時的にマイクを外し、ブレスノイズが入らないよう注意しましょう。

近接効果に注意

一般に、マイクとの距離が近すぎると「近接効果」と呼ばれる現象によって、口笛の音域(高音)が適切に集音されずクリアなサウンドを得ることが出来ません。

機材への入力レベルが小さいからといって、安易にマイクを近づけないように注意しましょう。

技術的に口笛で大きな音が出せない場合は、マイクを近づけるのではなく、高感度なマイクを使用して録音し、後から音響処理(ノーマライズ)によって音量を調整するとクリアで美しいサウンドが得られます。

正しいマイキングでの録音例

以下は正しいマイキングで録音した口笛音源です。

適切なマイクとの距離、角度を守ることで、このような静かな伴奏であっても、ノイズの少ないクリアな口笛の音を集音することが出来ます。

コンテストやライブでもマイキングは聴きやすさに大きく影響しますので、これを機に正しいマイクの扱い方を身に付けておきましょう。

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